高度経済成長を境にして三種の神器をはじめとする利便性の高いものが登場し、同時に国民の経済力も高くなっていった。流行という概念の元たくさんのものを購買するようになり家の中にあるものが増えた。すると、収納にまつわる”片付け”がブームになった。収納テクニックだけでは物があふれかえってしまい、大きな家に住みたいという欲望がわく。しかし、持っているすべてのものにときめきを感じているのだろうか。日本人はもったいないという考えに精通しているため、捨てるという”片付け”の仕方を会得できている人は少ないように感じる。
身の回りが好きなもので囲まれた生活が望ましい。モノがあふれかえっていては気が散るためだ。そこでこんまりメソッドを紹介しようと思う。近藤真理恵さんが考案した片付けの方法で、捨てることに重点を置いたやり方である。重要なのは、捨てかどうかをときめくかどうかで判断すること。ときめいたものは保存しておく。ときめかなかったものは感謝を伝えて、反省をして、学ぶことが大切である。そうすれば、自分の好きなものが分かるようになる。すると、片付けのリバウンドをすることもないし、無駄なものを買わないようになるのだ。自分自身を知るうえで片付けは非常に有効な方法といえる。
片付けの際に一番厄介なものは思い出の品の数々だ。思い出のものは捨てにくいだろう。しかし、記憶は頭の中にある。それに、記憶のトリガーは写真に収めることもできる。ときめくものでなければ処分してしまうのが良いだろう。気が引けるのならば、塩をまいた袋に入れて捨てるなどするとよいだろう。
片付けは人間の精神状態を表すといってもよい。荒廃しているときは、部屋が汚くなるし、現実に向き合おうとしているとは片付けをしたくなる。一時的な精神状態の変動は人間にはつきものだ。平均して整っている、好きなもので囲まれている生活をできたらいいのではないかと思う。